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君の読んでた偉い人の本は、机の上に置かれたままで、しおりを差して二百九十四ページ。扇風機は首を振らず、汗だくで目が覚めた。顔を洗ったら、水道水がカルキ臭い。この暑さにこの匂いは、たまらなくキツい。
スニーカーを三足ほど洗剤で洗った。古くなった歯ブラシで靴の指先の方まで丁寧にこすってやると、汚い黒い茶色い何年分の汚れが洗剤と混ざって浮いてきた。おもわずウワー!と声に出す。
外を歩けば青い柳の陰日向。川の流れは穏やかで、砂利をつかんで水面に投げたら、ものの見事に五回、六回、七回、跳ねた。あと一週間もすれば花を備えてにぎわう墓場も、今はまだ灰色のかたまりだ。見覚えのある老婆とすれ違い、軽く会釈をするが無視された。たぶん痴呆の一歩手前もしくはツンボなのか。
帰り道に近所の店で、かき氷と飲み物を適当に買って、冷蔵庫に放りこんで僕はテレビを付けて高校野球を観る。久しぶりにスプライトを飲んだら、「こんなに炭酸きつかったっけ」と思い、少し缶を振って炭酸を抜いた。
夏らしい夏が来たね
祭りはたいがい雨が降るね
干してあるスニーカーは
もう乾いただろうか?
よしろー